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2020年05月26日

母乳で育児する女性は糖尿病リスクが低い 母乳にさまざまなメリットが

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母乳で育児する女性は糖尿病リスクが低い可能性
 母乳には、赤ちゃんの成長にさまざまなメリットのあることが知られている。しかし、母乳育児は赤ちゃんだけでなく、母親にも好影響をもたらす可能性のあることが報告された。

 母乳育児を行った女性は出産後の糖尿病発症率が低く、その影響は3年後にも認められたという。詳細は「Science Translational Medicine」4月29日オンライン版に掲載された。

 妊娠は、体重増加に加えて、インスリン(膵臓のβ細胞から分泌される血糖値を下げるホルモン)の作用が低下する「インスリン抵抗性」を引き起こすため、耐糖能が悪化する(血糖値が上がりやすくなる)可能性がある。

 とくに、妊娠糖尿病の既往、高齢、肥満などは、出産後の糖尿病発症リスクの上昇に関与する。

 韓国科学技術院(KAIST)のHail Kim氏らは、出産後の女性174人(授乳婦85人と非授乳婦99人)を対象とし、出産後2ヵ月時点および、その後、少なくとも3年間にわたり毎年経過を追跡し、糖尿病発症リスクを比較検討した。

 その結果、出産から2ヵ月時点では、授乳をしている女性と授乳していない女性の耐糖能は同等だった。しかしその後、授乳している女性では、インスリン分泌が改善して糖尿病リスクが低下することが分かった。さらにその状態は、出産後3年以上も維持されていた。

 研究グループによると、授乳により女性の糖尿病リスクが低下する機序には、母乳産生を促進する「プロラクチン」というホルモンが関与しているという。

 マウスを用いた実験では、授乳により耐糖能が改善し、分娩3週後には膵臓のβ細胞量の増加が確認された。またプロラクチンは、β細胞のインスリン分泌を刺激することも分かった。

 さらに、授乳中にはプロラクチンがβ細胞で「セロトニン」(幸福感に関わる神経伝達物質)の産生を促すことも発見した。

 産生されたセロトニンは、その抗酸化作用によりβ細胞を保護するように働く。また、セロトニンがβ細胞の増殖を刺激して血糖値の安定化に寄与するという機序も見いだされた。

 Kim氏はこれらの研究結果をもとに、「授乳がβ細胞の量と機能、および血糖コントロールを改善することで、女性の健康に良い影響をもたらすことが示された」とし、「将来的には、出産後の女性の糖代謝異常に対する新たな治療法につながるかもしれない」と語っている。

HealthDay News 2020年5月5日]

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