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2020年03月25日

糖尿病で足の血管に障害が 集中的なフットケアで足の切断を防ぐ

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HealthDay News 糖尿病合併症
足の切断を防ぐための研究の現状と進歩 AHAニュース
 米国では、非外傷性の下肢切断が毎年数万件も発生している。その主要な原因は糖尿病である。糖尿病が下肢切断を増やす理由は、心臓から離れた部位の大血管が細くなって「末梢動脈疾患(PAD)」のリスクを上昇させることにある。

 ただし、大血管の障害だけでなく細小血管の障害も下肢切断にとって重要なファクターであるとするレビュー論文が、米国心臓病協会(AHA)の「Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology」オンライン版に2月20日掲載された。

 米ヴァンダービルト大学メディカルセンターの血管医学部長であるJoshua Beckman氏は、「糖尿病で血行に問題が生じると、足先の傷が治らずに組織を温存できなくなることがある」と指摘。

 慎重な創傷ケアに加え、バイパス手術やステント留置などの血管形成術でも問題が解決しない場合には、下肢切断に至る可能性が生じるという。

 Beckman氏らの研究グループは昨夏、退役軍人12万5,674人を対象とした研究から、PADのある人は切断リスクが13.9倍であり、細小血管障害がある人では同リスクが3.7倍であることを「Circulation」に報告している。そして、PADと細小血管障害の両者を併発している場合、そのリスクは22.7倍に上った。

 米ハーバード大学医学部循環器学の准教授であるMarie Gerhard-Herman氏は、全身の血管を木になぞらえて解説する。木の幹はPADが生じる大血管で、葉の茂る細い枝は細小血管に相当する。

 同氏は今回の研究には関与していないが、「幹が最も重要ではあるものの、木には細い枝も必要かつ不可欠」と指摘する。

 今回発表されたレビュー論文では、細小血管障害を下肢切断の独立した因子として理解することで、血行改善のための手術が成功したにもかかわらず切断が生じてしまう理由を説明するのに役立つ可能性があるとしている。

 また、細小血管障害に対するアプローチ以外で優先すべき研究課題として、切断リスクの高い患者を同定するための遺伝学的研究や、生理学的要因を特定する研究を挙げている。

 そのためBeckman氏の研究グループでは、過去の診療記録と遺伝子検査に関する記録を精査し、切断に至る可能性の高い患者を予測するリスクスコアの開発に取り組んでいるという。

 「当面はリスクの高い患者に対し、受診時に毎回足を確認して集中的なフットケアの対象とすることを最優先すべき」と同氏は語る。また患者に対しては、自分の足を毎日観察し、屋内でも保護用の靴を履いて、足病専門医に爪のケアを行ってもらうことを推奨している。

 さらに、心血管リスク因子を有する患者やPADあるいは細小血管障害を有する患者の診察に当たっている医師に対して、「禁煙や体に良い食事の選択などの健康的な行動に関する指導を行うと同時に、四肢の障害リスクを低下させる薬剤の処方が重要だ」と述べている。

 Gerhard-Herman 氏は、体を暖かくして過ごし、コーヒーやタバコなどの血管を収縮させるような食品の摂取を控えるとともに、「できるだけ歩くことで足への栄養供給が改善する可能性がある」と運動の重要性を指摘。同様にBeckman氏も「現時点で細小血管を再生する最良の手段は運動である」と語っている。

[American Heart Association News 2020年2月20日]

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[ Terahata ]

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