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2020年03月03日

糖尿病+認知症で脳卒中リスクが上昇 糖尿病治療の重要性が明らかに

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HealthDay News 糖尿病合併症
糖尿病+アルツハイマー病で出血性脳卒中の予後が悪化する可能性 AHAニュース
 脳卒中の中でも致死性が高く治療が難しい出血性脳卒中の患者に、糖尿病とアルツハイマー病が併存している場合、いずれか一方のみに罹患している場合に比べて、脳卒中発症後の病状がより深刻となる可能性が明らかになった。

 米ケンタッキー大学のAmanda L. Trout氏らは、ケンタッキーアパラチアン脳卒中レジストリのデータを基に、出血性脳卒中を発症した成人2,071人について、発症前の病歴と発症後の状態を検討した。

 その結果、脳卒中発症前に糖尿病とアルツハイマー病を併発していた人の75%が、脳卒中発症後に死亡、またはホスピスへの入院や長期療養を要していた。一方、糖尿病およびアルツハイマー病のいずれにも罹患していなかった人では、その割合が39%、糖尿病のみに罹患していた人では42%、アルツハイマー病のみでは62%だった。

 Trout氏は「脳卒中レジストリのデータを解析することで、糖尿病やアルツハイマー病といった疾患が併存している場合と、それらが単独で存在する場合とで、脳卒中の予後がどのような違いが出るのか、その影響の比較検討が可能になる」と述べている。同氏は今回の報告に関する予備的データを、米国脳卒中協会(ASA)主催の国際脳卒中会議(ISC2020、2月19~21日、米ロサンゼルス)で発表した。

 米国心臓病協会(AHA)の統計によると、米国では毎年約79万5,000人が脳卒中を発症し、約14万6,000人が死亡している。

 脳卒中の多くは脳への血流を阻害する血栓が引き金になって発症するが、約13%は脆弱化した血管が破れて起こる、脳内や脳の周辺での出血によるもの。後者の出血性脳卒中の最も多い原因は、コントロールの良くない高血圧である。

 ケンタッキー州は高血圧の有病率が高いことが知られており、同州の農村部は脳卒中発症率が全米で最も高い地域でもある。Trout氏らが解析に用いたケンタッキーアパラチアン脳卒中レジストリは、脳卒中治療の予後への影響を検討する目的で2010年にスタートした。ただしTrout氏らの発表データは、高血圧の既往については調整されているが、脳卒中発症時の血圧値は調整因子に含まれていない。

 この点に関連し、今回の研究には関与していない米コロラド大学の名誉教授で糖尿病専門医のRobert H. Eckel氏は、「対象者の血圧コントロール状況が不明なため、アルツハイマー病と糖尿病を併発していたことが重篤な脳卒中リスク上昇の原因かどうかを判断するのは難しい」と指摘している。

 その上で、「糖尿病と認知症は関連があることが明らかになっている。この2つの疾患が互いにどのように影響し合っているのか興味深い」と述べている。

 今回の研究結果の影響をTrout氏は、「複数の健康問題を抱えている人が、なぜ重篤な脳卒中を起こしやすいのか、その理由を解明するという基本的な科学研究の必要性が示された」とし、また「糖尿病などの疾患を生活習慣の変容や薬剤などにより管理していくことの重要性が明らかになった」とまとめている。

[American Heart Association News 2020年2月17日]

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[ Terahata ]

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