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2019年10月08日

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HealthDay News

高齢者の血糖コントロールを緩和する必要性 医師との対話を保つことが大切

血糖管理を緩和すべき糖尿病患者への行き過ぎた治療の実態
 高齢や複数の併存疾患がある場合など、ガイドラインでは血糖管理目標の緩和を考慮すべきとされる糖尿病患者に対して、インスリンによる厳格な血糖管理が行われ、患者もそれを望みがちであるという実態を報告した2本の論文が「JAMA Internal Medicine」9月16日および9月23日オンライン版に掲載された。

 1つ目の報告は米国の医療保険団体の1つであるカイザーパーマネンテのRichard Grant氏らが、75歳の高齢2型糖尿病患者2万1,531人(女性48.3%、インスリン療法18.9%)の医療記録を最大4年間追跡したもの。

 対象者を健康状態で、良好(併存疾患が2つ未満、または2つで身体活動性が保たれている)、中等度(併存疾患が2つを上回る、または2つで定期的な運動の実践を報告していない)、不良(末期の心肺疾患、末期腎不全、認知症、転移性がんを有する)の3群に分類。健康状態「良好」の群を基準にインスリンが用いられている割合を比較すると、健康状態「不良」の調整リスク比2.03、「中等度」1.85で、ともにインスリンが使われやすい状況にあった(P<0.01)。

 また、インスリン療法患者の32.7%は追跡開始から4年以内または死亡の6カ月前にインスリンの使用が中止されていたが、健康状態「良好」の群に比し「不良」や「中等度」ではインスリンの使用が継続される割合が有意に高かった(調整リスク比はそれぞれ1.47、1.16、P<0.01)。

 Grant氏は、「インスリン療法は生涯のほとんどの期間、そのベネフィットがリスクを上回る。しかし、余命が短くなるにつれ、強力な血糖管理はリスクに比べてベネフィットが少なくなる」と述べている。同氏によると、管理目標の緩和を医師から提案されると患者は心配することが多いという。しかし「血糖管理の緩和は治療の放棄ではなく、治療のリスクを軽減するためのもの」と同氏は説明している。

 もう1つの報告は、米ジョンズ・ホプキンス大学のNancy Schoenborn氏らの研究。65歳以上の2型糖尿病患者818人(平均年齢74.0±6.8歳、男性53.7%)を対象に行った横断調査の結果、対象の60%がガイドラインの推奨と相反して血糖管理強化療法が必要と考えており、罹病期間が長い患者ほどその傾向が強いことが明らかになった。

 この結果についてSchoenborn氏は、「医師がなぜ血糖管理の緩和を推奨するのかについて、患者はもっと情報を得る必要があることが示唆される」とし、「血糖管理緩和は副作用のリスクを低下させ、生活の質(QOL)を向上する」と述べている。

 血糖管理の強化に伴う最も重大な副作用は低血糖で、その症状は、震え、冷や汗、興奮、意識の混乱、めまいなどだが、米国糖尿病学会(ADA)によると、不整脈や失神を起こすこともあり、稀ではあるが最悪の場合、死に至ることもあるという。そのためADAや米国退役軍人省、米国老年医学会は、健康状態が不良で余命が短い患者に関しては血糖管理の緩和を提案している。

 米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、「低血糖の予防は高齢者においてより重要であり、低血糖リスクが少ない新しいタイプのインスリンや他の薬剤もある」と解説。患者に対しては、「医師とのコミュニケーションを保つことが大切だ。健康状態はいつでも変わり得るので、現在の治療のリスクとベネフィットを医師と話し合うように」とアドバイスしている。

[2019年9月25日/HealthDay News]

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