第7回・第8回・第9回:5種類の計測機器で糖尿病患者さんを1週間モニタリング「食後高血糖に対する尿糖チェックの有用性研究」症例報告

第8回 症例検証 CASE 2 Bさんの場合

血糖測定と尿糖測定は、きれいに相関

 このように、複数の検査機器で実生活の数値をモニターしてみると、尿糖測定を行う意義が実感できます。この方の場合は血糖値が閾値を超えると、尿糖が100%必ずきれいに出ていたのが印象的でした。

 今回の試験で、CGMによってこのような持続的な血糖変動とともに尿糖排出の状況が非常によく表れていました。ふだんから、SMBG(血糖自己測定)で食後高血糖を把握できればよいですが、SMBGを行っていない患者さんにとっては尿糖測定が日常生活での振り返りとして大いに役立つものと考えます。食後に尿糖を測定することで間接的に「血糖が高くなっている」ことを把握し、食事や運動などの生活習慣の改善に役立てることができるようになります。

【今回のまとめ】

【 加藤光敏先生より (加藤内科クリニック院長) 】

 Bさんは食事・運動療法を頑張っていますが、HbA1cが8.1%とかなりの高血糖でした。さすがに空腹時に尿糖は出ませんが、毎食後必ず尿糖が出ています(もしも空腹時に尿糖が出ているなら24時間血糖が160〜180mg/dL以上の大変な高血糖です)。このように、尿糖試験紙で食後尿糖が出てしまっているのだと意識するだけでも尿糖試験紙でチェックする意義はありますが、尿糖計ではさらに排出された尿糖の量が把握できます。

 尿糖試験紙を用いたコントロール目標として、食後でも尿糖が(1+)、そして(ー)の時も出てくるよう食事・運動療法を継続していく必要がありますが、Bさんの場合、食事・運動療法のみでは血糖の下げ止まりを感じていました。このような時は速やかに糖尿病治療薬を用いて、確実に血糖を下げることが大切です。最近の糖尿病治療は、長期間HbA1cが7%を切らない状態を続けるのでなく、食事・運動療法の限界なら薬物療法に踏み切り、空腹時血糖が120mg/dLを切るくらいまできちんと血糖を下げる。良くなったら薬を減量、可能な場合は中止にする。これが正しい治療です。

 まだインスリンを造る膵臓のβ細胞が残っている状態で早めに薬を使えば、HbA1cが7%を切れる時代になってきました。逆に言えば後になればなるほど良いコントロールにするのは難しくなります。主治医の先生が薬を使いましょうというのに難色を示し、薬を増やすのが遅れ遅れになり、結局一度もHbA1cが良くなっていないということだけは避けましょう。


【 加藤 則子 先生(加藤内科クリニック 管理栄養士) 】

 尿糖が出やすいタイプの肥満型糖尿病の方は、食事量の削減と運動の増加があれば、すーっと体重が減り血糖コントロールが改善するのかな?と期待します。身体は尿中に血液中の余分な糖を出すようにしているのです。理論的には尿糖が出やすい人は、そうでない人より体重が減りやすいはずです。

 Bさんは自分で総菜やもずくを買って、野菜などの摂取量を増やす努力をしていました。CGMを装着している間はさらにせっせと歩いたようです。みなさん同じですね。誰かが見ていてくれる、だからがんばれる。血糖にしても、尿糖にしても、測って比較ができると、またがんばれる。「よし、OK」と自分で満足感を高めたり、評価できるのではないでしょうか?

 Bさんも体重が減りやすいはずですが、夜遅くに帰ることが多い。夕食でアルコールを飲み、量をなかなか減らせない。食後に甘い物や果物があると食べてしまうなど、もう少しだけ、食べない期間を作ると減量がうまくいくと思います。もしくは食べる日と食べない日のルールを作る、体重記録を壁に貼る、グラフにするなども良いかもしれません。あと3kg体重が減ると格段に血糖値が良くなり、BMIが25未満を維持できるでしょう。

 次に糖質(炭水化物)がどのくらいあるかを考えて食事をすると良いと思います。朝や昼食は活動するから良いですが、夕食は食後寝るだけですから、糖質量を減らします。ビールや日本酒は糖質を含みます。焼酎やウイスキーは少ないと言われますが、おつまみも増えがちですし、朝にかけて血糖値が上がる場合もありますので、自分の適量を栄養士と相談しながらつかんでください。

 皆さん、気持ちよく運動しながら、仕事もがんばって、生活を楽しんでください。

目 次

(2014年05月 公開)