トップページ - 間食指導に関する情報 - Q&A

回答者:浜野久美子先生(関東労災病院 糖尿病内分泌内科部長)
加藤則子先生(加藤内科クリニック 管理栄養士)
Q. 間食がいけない原因は"甘い"からですか?
A.
 もし体重を減らしたいなら、間食を止めた方が総エネルギー量を減らしやすいのです。食事と食事の間に食べることが間食です。食事をすると血糖値が上がりますが、次の食事までの時間が短いと糖尿病の方は十分正常な値まで血糖値が下がらないうちにまた食事をするため、食後の血糖値がさらに高くなりがちです。
 甘い物を食べると血糖値が高くなるけど、甘くない「せんべい」ならば良いだろうとおやつに食べる方もいます。しかしせんべいもお米から作るので、ご飯と同じく血糖値は上がります。どら焼き・まんじゅうは甘いから食べていけないのではなく、果物にしても間食をすると体重が増えやすく、糖尿病の血糖コントロールも悪くしやすいのです。
 ただし夕食が遅くなる場合は間隔が開きすぎるので、18時頃補食を行うと良いですね。(加藤)

Q. 間食をやめるよう指導されていますが、きっぱりやめられません。やめるのに良い方法はありますか?
A.
 どんな物を食べていますか?どなたと食べていますか? 何時に食べていますか? どうして食べるのですか? いろいろ理由があるのだと思います。担当の栄養士さんと一緒に、その辺の理由を考えながら対策を立ててみましょう。
 例えば、間食を飲み物だけにしてみてはいかがでしょうか。カフェオレやミルクティ(ノンシュガー)でしたら、少しの牛乳がお腹に満足感を与えてくれます。生姜紅茶や甘みを感じるハイビスカスティにした方もいます。時には、「食べないの?」と誘惑する方もいます。直接断らず、その場で食べず、持って帰りましょう。いただき物は朝食時に少し食べてみるという手もあります。(加藤)

Q. ノンカロリーやカロリーオフの飲食物ならいくら食べてもよいですか?
A.
 砂糖入りに比べれば良いとされています。ただし、ついまた甘い物を食べたくなってしまう方が多いようです。体重を減らしたいならストレートティや緑茶、ブラックコーヒーなど甘くない飲み物の方をおすすめします。
 カロリーオフは少なめ、ノンカロリーやカロリーゼロは0kcalではなく、100mlあたり5kcal未満であることも知っておいて下さい。500mlのペットボトルなら20kcalぐらいですから、アメ1〜2個分に相当します。(加藤)

Q. 夜中に食べるとよくないのは、どうして?
A.
 身体の体内時計遺伝子の1つである「ビーマルワン」は脂肪をため込む働きがあり、夜間に増加し、朝日を浴びると減少します。夜の22時から午前2時に最も多くなり、逆に少なくなるのは朝6時から午後3時頃までの間です。つまり夜22時以降の飲食は太りやすいのです。(参照:坂根直樹他「質問力でみがく保健指導」中央法規)
 また、夕食後にテレビを見ながらだらだら食べて、あとは寝るだけでは血糖値は下がりにくくなります。夜に仕事をしながら食べる人もいますが、身体活動量は少ないことが多いので、やはり糖尿病の血糖コントロールは悪くなりがちです。(加藤)

Q. 通院している病院では「間食は禁止」と言われます。他の病院では「よい」と言っている所もあるようです。どちらが正しいのですか?
A.
 ここの連載にもあった通り、医療者の立場も二者択一といった画一化されたものではないと思います。アメリカ糖尿病学会でも一律に禁止といった方針はとられていません。おやつを上手にとりいれて糖尿病治療もうまくいっている方、あるいはおやつが弊害となって治療がうまくいかない方さまざまですので、それぞれ患者さんの状況によって指導内容は異なるべきであると考えます。(浜野)

Q. 血糖自己測定をしていないので、間食しても血糖値が上がる実感がありません。HbA1cがそんなに悪くなければ、あまり気にしなくても大丈夫ですか?
A.
 間食の種類にもよると思います。例えば、ポテトチップスとコーラでは血糖の上昇パターンは違います。食後の血糖値も、どのタイミングで見るかにより異なってくるでしょうから、間食後の早い時間に血糖値が高い食後高血糖があるかもしれませんので、HbA1cの値だけでは判断しないよう慎重に検討してください。(浜野)

Q. 診察時、間食の話をしたら怒られそうなので、"食べていない"と申告していますが、問題はありますか?
A.
 「食べていない」というお答えをなさるということは医療者から間食はどうしていますか? と問いかけているのですね。それに対して本当のことが言えないというのは、お互い残念なことと思います。患者さんからは、きっと食事療法を守っていないと叱られるのではという思いがあるのでしょうし、医療者側の問いかけのスタイルも見直しをする必要があるのかもしれません。糖尿病の治療は長く続くものですから、ぜひ何でも相談できる治療環境を作っていきたいものです。また、もし間食に問題があって、ご自分の治療がうまくいっていないということに気がついているのでしたら、間食は制限なさってみるべきでしょう。(浜野)

Q. 過去に低血糖を経験したことで、怖くてつい間食する癖がついてしまい、体重も増えてしまいました。よい対策はありますか?
A.
 低血糖があったことをすぐ医師に報告しましたか? もしかしたら治療が上手くいって、血糖コントロールが改善し始めたところだったのかもしれませんね。すぐに薬を軽くしてもらえば良かったかもしれません。
 一般的に低血糖には理由があることが多いのです。食事の時間がいつもより遅かった、いつもより食事が軽かった、いつもより良く歩いたなどの事が思い当たりますか?今度低血糖が起こりそうな時は、起こる前に予め"補食"をしておきましょう。例えばクラッカーを1枚食べるなど、ほんの少しで十分です。低血糖が起きてからブドウ糖を食べるより少ないエネルギー量で済みます。
 どんな食べ物を低血糖用にしていますか? 例えば、チョコレートは脂肪が多いのですぐに血糖を上げることができません。アメは喉に詰まることもあるので人によっては注意が必要です。ラムネはブドウ糖で作られていますし、量の加減がしやすいのでお勧めです。ゼリー飲料はカロリーのある物を選んで下さい。スクリューキャップになっているので、これも量の加減ができます。その後さらに低血糖が続くかもしれませんので、早く食事を摂るようにしましょう。
 低血糖を感じたらまずブドウ糖を食べ、次に血糖値はどのくらいか血糖測定してみると良いでしょう。もしかしたら心配性になっているだけかもしれません。診察の時に起こった時間と血糖値を報告して下さい。スタッフと一緒に対応を考えてみると良いと思います。(加藤)

Q. 1型なので、低血糖対策のためと言い訳しつつ、好きなおやつを食べていますが、追加インスリンを打っていれば問題ないですか?
A.
 ご質問の"低血糖対策のためという言い訳をしつつ"というところが気になります。もし低血糖対策でしたら「好きなおやつ」でなくて対処できるのではないですか? 年齢、肥満の程度など考慮しなくてはなりませんが、ケーキ分、アイスクリーム分として追加インスリンを打っていらっしゃると肥満の助長や脂質異常を招いて、ひいては糖尿病治療がうまくいかなくなってしまう危険性もあります。(浜野)

Q. 糖尿病患者さん向けのおやつには、どのようなものがありますか?
A.
 糖尿病患者さん向けに開発されたカロリーコントロール(エネルギー調整)食品、食後高血糖を抑える機能調整食品などがあります。これらは、エネルギー量や血糖上昇を抑える甘味料を使用したり、食物繊維などで糖質カットしたりといった工夫がされています。また、1食で1単位(80kcal)分に計算されている食品もあり、摂取量が把握しやすい便利な食品も増えています。(編集部)

参考
糖尿病患者さんの食事療法に役立つ製品・サービス(医療スタッフ向け)

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