トップページ - アンケート「糖尿病患者さんの糖質管理を考える」 - 医療スタッフの回答結果

糖尿病患者さんの回答結果

 糖質の過剰摂取による血糖コントロール不良の患者さんは「多い」と回答する方が約8割おられました。これに対して、「糖質」の摂取量に配慮するよう指導を行っているか伺ってみたところ、約半数の医療スタッフが「患者さん全員へ行っている」、約4割が「食生活に問題のある患者さんに行っている」とのこと。

 さらに、患者さん自身が食事の糖質量(もしくは炭水化物量)を意識、管理することは、血糖コントロールの安定、改善に役立つかを聞いてみました。すると、53%が「必要な患者さんには役立つ」、44%が「役立つ」と、97%が「役立つ」との回答。食事の糖質摂取量を適正に減らすことでメリットがある患者さんとして、「糖質の過剰摂取を是正する必要がある方」が76%、「患者さん皆が知っておく価値がある」とする方が48%、「外食中心の生活の方」が47%と続きました。一方、食事の栄養バランスにおいて、炭水化物の摂取比率が全体の40%以下となるような糖質制限を行うことでのリスクや禁忌について、約7割の方が「必要な患者さんに指導や説明を行っている」との答えでしたが、患者さん側の回答では28%と、大きなギャップがみられる結果でした。

 自由記述では、医療スタッフからは、‘自己流で行っている患者も多いので医療者、患者を含め正しい知識を持つことが大事。’‘糖質を過度に制限し、余計に血糖コントロールが乱れないか心配。糖質、タンパク質、脂質のバランスは重要であるとの啓蒙も必要。’‘糖質制限とカーボカウント、従来のエネルギー制限食の利点と欠点を患者さんに説明し、患者さん自身に選択してもらうとよい’などの声が寄せられました。

「糖質」(もしくは炭水化物)中心の食生活による、血糖コントロール不良の患者さんは多いとお感じになることはありますか?

糖質カットした市販食品を、指導で紹介することはありますか?

貴院では、「糖質」の摂取量に配慮するよう、糖尿病患者さんへ説明や指導を行っていますか?

食後の血糖上昇について、どのような形で説明や指導を患者さんへ行っていますか?

食事の糖質量(もしくは炭水化物量)を意識、管理することは、血糖コントロールの安定、改善に役立つとお感じになりますか?

貴院では、いわゆる「糖質制限食」について糖尿病患者さんから相談を受けたり、説明を求められたことはありますか?

食事療法の中での糖質摂取量を適正に減らすことで、メリットのある糖尿病患者さんはどのような方と思われますか?

“極端な糖質制限”を行うことでのリスクや禁忌について、知っているものすべてにチェックしてください

“極端な糖質制限”によるリスクや禁忌について、患者さんへ説明や指導を行っていますか?

非インスリン療法患者さんに対する、カーボカウント(基礎編)の指導について、どのようにお考えですか?

糖尿病食事療法における糖質管理についてのご意見、近年、話題にのぼっている糖質制限食に対するお考えなど、自由にご記入ください

  • 極端な糖質制限を自己流で行っている患者も多いので医療者、患者を含め正しい知識を持つことが大事。
  • 糖尿病患者さんであっても、運動量が多く、肥満のない人は、むしろ糖質は食事のときに積極的に摂ったほうがいいと考えている。そのとき、食後高血糖になるようなら、それに見合ったインスリン(や経口薬)できちんと治療するべき。太った人には、もちろん糖質制限します。糖質制限すると、ご飯を制限すると、おかずがたくさん食べられなくなるというメリットもあるので。
  • 糖質を制限すれば、糖尿病が治るといったマスコミを介した誤った情報を鵜呑みにする人が多い。糖質を過度に制限し、余計に血糖コントロールが乱れないか、その方が心配。糖質はエネルギー比率のうち55〜60%は必要であり、糖質、タンパク質、脂質のバランスは重要であるといったことをもっと啓蒙する必要があると強く感じている。
  • 栄養相談を行っていると、カロリーだけに着目し、栄養のバランスに対する配慮が乏しい方が多い。糖質管理という考えは、栄養バランスを意識する上で、有用なツールのひとつと期待している。
  • 糖質0をカロリー0と勘違いしている患者さんが多い
  • 外食や外での飲酒機会が多い壮年期男性には、従来の食事療法よりわかりやすく効果も出やすいと思う。極端な主菜(肉や魚介類)の多食や無糖質のアルコール類の多飲は、心臓病等の循環器疾患に高リスクと考えられるのではないか。また腎機能が低下していることを自覚していない(医師に指摘されていない)人には、大変危険だと思う。
  • カロリーベースでの食事療法には限界があるのも現実なので、糖質制限食についての正しい情報提供は必要。
  • 糖質管理はとても重要であると思います。特にインスリン導入患者では高血糖だけでなく、低血糖防止のためにも取り入れて欲しいのですが、食品成分表では、炭水化物と大きく分類されているものがほとんどで、糖質と食物繊維が混合されているため計算がとても面倒です。カーボカウントも一単位が15gだったり10gだったりで、統一した資料があれば指導する方も患者様も取り入れやすいのではと思います。
  • もともと、白米が好きとかパンが好きとか麺が好きという患者さんも結構多いと思う。そんな患者さんに炭水化物を減らすことを話すのはなかなか難しい。糖質制限食は、安易なテレビ等のマスコミの話を聞いて興味を持ち内容をきちんと理解しないまま、自分のいいように解釈して開始してしまうケースが多いと思う。少しうまくいくと、きちんと理解することの大切さを話してもなかなかわかってくれず、困ってしまうこともしばしばある。
  • 糖質の過剰摂取によるコントロール不良の方はたくさんいらっしゃいます。高齢者、女性はとくにそうです。男性でもアルコール、喫煙しない方は結構甘いもの好きが多いです。3食以外の糖質にまず気を配ることは、「糖質制限」に反対している人も同調されるはずです。
  • 糖尿病の食事療法が、「糖質制限食」中心になると、これまでの「糖尿病食=健康食(健康な人にもお勧めの栄養バランス食)」という考え方ができなくなるように思います。
  • 糖質の過剰な制限によるエネルギー代謝の低下や低血糖も懸念されるので、おなじ炭水化物でも必要なものを選択的に摂取できる指導が必要。
  • リスクのないよう個別に指導できれば、必要な患者には行った方が良いと思う。
  • エネルギー量にのみ注意を向けている患者さんには、糖質に関心を持って頂くのが良いと思います。糖質制限であっても必ず栄養バランスを考えた上で行うのがよろしいのではないかと思います。