糖尿病であってもお母さん(母体)の血糖値が食事療法で良好に保たれ、母体に合併症がなく、赤ちゃん(胎児)の健康状態も発育も正常であれば、多くの場合、40週6日まで自然陣痛を待つことが可能ですが、41週以降は分娩誘発を行うことがすすめられています。
陣痛が始まる前にお産をする必要があるのは、自然陣痛が起きてくるのを待つ間に、お母さんや赤ちゃん(胎児)の状態が悪化する危険性があると判断される場合です。また、32週以降は、子宮内胎児死亡の危険性が増し、また週数増加につれ過剰発育児が増加するので、37週以降、積極的に分娩誘発を行う管理方法もあります。
妊娠中は胎児心拍数モニタリングや超音波画像を用いて赤ちゃん(胎児)の健康状態を検査します。この検査で異常所見が認められた場合には、妊娠週数などを考慮したうえで、陣痛が始まる前にお産をすることがあります。
お母さん(母体)の血糖管理が非常に困難な場合や重篤な糖尿病合併症を持っている場合、あるいは妊娠高血圧症候群を合併している場合も予定日以前に分娩誘発や帝王切開分娩を行うことがあります。その時には、さまざまな検査で赤ちゃん(胎児)の成熟度を確認した上で実施します。分娩方法は、合併症、推定体重、胎位、既往歴などから帝王切開する理由がない場合は経腟分娩とします。
(宮崎大学 鮫島 浩)
2013年05月
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