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9. 糖尿病ケトアシドーシスとはどんな病気ですか? |
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糖尿病ケトアシドーシス(DKA)は糖尿病昏睡の一種であり、糖尿病妊婦さんに起きる最も重篤な合併症です。DKAは糖尿病合併妊娠の1.2%に発症すると報告されています。
早期診断され早期に適切な治療が施されないと、現在でも死亡率が約10%におよび、妊婦さんに発症すると胎児死亡は以前の報告では30〜90%、最近の報告でも22〜35%の頻度で起きるため注意が必要です。
誘因として切迫流早産治療薬のβ刺激剤(30%)、妊娠悪阻(27%)、不十分な内科管理(13%)、患者さんの不十分な協力(11%)、見逃されていた糖尿病(8%)、感染(5%)、インスリンポンプ不良(3%)などがあります。
これは種々の症状で発症するため診断が遅れることがあります。特徴的な症状としては多飲、多尿、脱水にともなう頻脈、血圧低下、皮膚の乾燥・緊張低下、体重減少、Kussmaul大呼吸などがありますが、急性腹症と間違う激しい腹痛や、イレウス症状、児心音悪化、意識障害などで発症することもあります。 検査としては動脈血ガス分析、血糖、尿ケトン体測定が重要です。診断がつき次第、生理食塩水の輸液やインスリン投与が行われます。
(岡山市立総合医療センター 平松祐司)
2007年11月
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