妊娠高血圧症候群は妊娠20週以降から分娩後12週までに新たに高血圧もしくは高血圧と蛋白尿を伴った場合や、もともと蛋白尿や高血圧を持っていて妊娠20週以降に増悪した場合をいいます。
原因は胎盤の形成不全により母体血中に放出される種々の因子によって引き起こされてくる血管内皮障害を中心とした母体全身炎症と考えられつつありますが、詳しいことは未だ不明です。
妊娠高血圧症候群は初産婦、高齢、肥満、糖尿病をはじめとする耐糖能異常で発症頻度が高くなるとされています。そのため、リスクの高い人は妊娠中は食事療法と体重管理や耐糖能異常の検査をうける必要があります。
妊娠高血圧症候群(軽症)では治療もほとんど必要なく、予後も良好ですが、重症では降圧剤投与による血圧管理が必要となり、早産、帝王切開率も高くなります。
また最近では妊娠高血圧症候群の中でも、早期に発症する早発症(妊娠32週未満)や重症型で早産を経験している場合、将来心血管系の病気による死亡率が高くなること、一方、乳癌の発症率は低下することが報告されています。
(市立四日市病院 三宅良明)
2013年05月
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