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6. 妊娠中の体重増加はどの程度がよいのか教えてください。 |
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正常妊娠の妊娠中の体重増加目標は、妊娠前の肥満の程度によって異なります。肥満度が標準的な人(BMI*18.5〜25未満)は7〜12kg、やせの人(同18.5未満)は9〜12kgの体重増加が勧められています。この程度の体重増加が、お母さんの体の異常が最も少なく、胎児の正常な発育と最も関連していることがわかっています。一方、妊娠前に肥満であった人(同25以上)は、血圧や血糖値の異常などと関連が深く個別に対応することになっていますが、概ね4〜6kgの体重増加が目標とされます。こうした妊娠前の肥満度に応じた正常妊婦の体重増加目標は、糖尿病や妊娠糖尿病の妊婦さんの場合にも用いられます。
お母さん(母体)の体重増加が少なすぎると、赤ちゃん(胎児)の発育が不十分であったり、早産の原因となります。最近、出生時の体重が軽い赤ちゃん(低出生体重児)が将来のメタボリックシンドロームの原因となることが明らかとなり、胎児期の正常な発育の重要性がクローズアップされています。
以前は、妊娠中の体重増加をできるだけ抑えることが、妊娠高血圧症候群を予防したり、安産になると考えられていました。しかし、そのような効果はなく、むしろ早産や低出生体重児の原因となることから、最近では適切な体重増加をきちんと得るようにと指導されます。
もちろん、糖尿病や妊娠糖尿病妊婦さんの場合、とくに肥満のある場合は、過剰な体重増加は母体や胎児・新生児のさまざまな合併症の原因となるので個別な対応が必要です。
*BMI(body mass index)肥満度の指標
実際の体重(kg)/[身長(m)]2
(長崎医療センター 安日一郎)
2007年11月
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2007 All copylight by The Japanese Society of Dibetes and Pregnancy