4. 妊娠中の血糖値はどれくらいがいいのですか?
妊娠中の血糖値が高いと、赤ちゃん(胎児)が大きくなりすぎたり、新生児期にいろいろな合併症(低血糖、高ビリルビン血症、多血症、低カルシウム血症、呼吸障害)が起きやすくなります。また、お母さん自身にもいろいろな産科的合併症(早産、妊娠高血圧症候群、羊水過多症、尿路感染症)が起きやすくなります。
赤ちゃんやお母さん自身の合併症を防ぐためには、妊娠中の血糖コントロールをよい状態にすることが必要です。できるだけ健常の妊婦さんと同じ血糖値を目標に治療を行います。持続的に血糖を測定する器械などを用いて健常妊婦さんの血糖値を妊娠33週ごろに測定した結果では、朝食前空腹時血糖値71±8mg/dL、朝食後1時間血糖値109±13mg/dL、朝食後2時間血糖値99±10mg/dL、と報告されています。
現在、世界的に推奨されている血糖コントロール許容値は食前血糖値100mg/dL未満、食後1時間血糖値140mg/dL未満、食後2時間血糖値120mg/dL未満です。この目標値を達成するためには外来で血糖値を測定するのみでは不十分であり、血糖自己測定により日常生活での血糖値の変動を把握して、治療をすすめることが大切です。
長期の血糖コントロール指標として、妊娠中はHbA1cのみでなく、グリコアルブミン(GA)を用います。健常妊婦のHbA1cとGAの平均+2SDをもとに検討した結果では、HbA1c5.8%未満、GA15.8%未満の場合、新生児合併症の頻度が低く、さらにGAの方が長期血糖コントロール指標としてよりよいことが報告されています。
(板倉病院 佐中眞由実)
2013年05月
Q1. 妊娠糖尿病とは?
Q2. 妊娠中の明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)とは?
Q3. 妊娠糖尿病になりやすい人はどのような人ですか?
Q1. いま糖尿病の治療を受けていますが妊娠できますか?
Q2. 糖尿病があれば赤ちゃんに奇形ができると聞いて心配なのですが?
Q3. ピルをつかっていますが大丈夫ですか?
Q4. 糖尿病の女性は月経不順になりやすいですか?
Q1. 妊娠糖尿病はどれくらいの頻度であるのですか?
Q2. 妊娠糖尿病はどのようにして診断するのですか?
Q3. 糖尿病があって妊娠したら自分自身にどんな合併症が起こりますか?
Q4. 妊娠中の血糖値はどれくらいがいいのですか?
Q5. 食事療法について教えてください。
Q6. 妊娠中の体重増加はどの程度がよいのか教えてください。
Q7. インスリン治療について教えてください。
Q8. 妊娠高血圧症候群といわれたのですが大丈夫ですか?
Q9. 糖尿病ケトアシドーシスとはどんな病気ですか?
Q10. 劇症1型糖尿病という怖い病気があると聞いたのですが。
Q11. 糖尿病合併妊娠のときは何か特別な胎児管理が必要ですか?
Q1. お産は経腟分娩できますか?
Q2. 糖尿病があったら陣痛が始まる前にお産をするのですか?
Q3. お産のときにも合併症が起きるのですか?
Q4. 赤ちゃんが巨大児といわれたのですが大丈夫ですか?
Q5. 生まれた赤ちゃんにはどのような合併症が起こるのですか?
Q1. お産がすんでも妊娠中と同じ治療が必要なのですか?
Q2. 妊娠糖尿病の人はお産後も定期的な健診が必要といわれましたが本当に必要なのですか?
Q3. お産後の日常生活で気をつけることがありますか?
Q4. 育児の上で気をつけることがありますか?
Q5. 母乳を飲ませてもいいのですか?
Q6. 1回目に妊娠糖尿病だったら2回目の妊娠でも妊娠糖尿病になりますか?
関連情報:糖尿病ネットワーク
●Q&A談話室「女性の糖尿病」
●Q&A1000「知っておきたい糖尿病と妊娠の関係」
●糖尿病セミナー「結婚から、妊娠・出産」
2007 All copylight by The Japanese Society of Dibetes and Pregnancy
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