血糖のコントロールが悪いと、妊婦さん自身に、また赤ちゃんにいろいろな合併症が出現します。妊婦さん自身に起きる合併症としては、非妊娠時の合併症と同様に、 1)網膜症、2)腎症、3)神経障害、4)低血糖などが起こり、そのほかに妊娠特有の合併症として、5)妊娠高血圧症候群、6)早期産、7)羊水過多症などが起こります。また、分娩のときに巨大児になっていれば、1)肩甲難産、2)腕神経麻痺、3)骨折、4)産道裂傷、5)帝王切開率の上昇などが起こります。
妊娠高血圧症候群は糖尿合併妊婦の9.9〜27.0%に合併します。妊娠糖尿病でも少し頻度は下がりますが好発します。
早期産は、糖尿病合併妊娠の19〜38%に認め明らかに高頻度でありますが、妊娠糖尿病では6.2〜10.0%の頻度であり、正常妊娠と差を認めないという報告も多く見られます。
肩甲難産は児頭が娩出されたあと、赤ちゃんの肩が母体の恥骨結合に引っかかり娩出されにくくなる状態です。正常妊娠でも0.5%の頻度で起こりますが、糖尿病合併妊娠では胎児の皮下脂肪が多く6.2%に起きるという報告があります。肩甲難産が起きると、赤ちゃんの腕神経麻痺、骨折、あるいはお母さんの産道裂傷などが起こります。
これらを予防するためには、血糖調節をきちんと行い、巨大児を予防することが大切です。
(岡山市立総合医療センター 平松祐司)
2007年11月
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