|
3. ピルをつかっていますが大丈夫ですか? |
|
糖尿病治療中の女性では、ご自身と赤ちゃん(母児)の合併症を減少させるために計画妊娠が大切です。そのためには、血糖値がコントロールできるまで避妊する必要があります。避妊法には、コンドーム、IUD(リング)、ピル、荻野式、腟外射精など種々の方法があります。このうち荻野式、腟外射精は失敗率が高く約20%に達します。また、コンドームでは正しい使用で3%、一般的使用で12%、IUDでは正しい使用で1.5%、一般使用で2.0%の失敗率が報告されています。
最も避妊率が高いのはピルで、正しい使用で0.1%、一般使用で3.0%の失敗率とされていますが、糖尿病患者にピルを使用した場合には、糖代謝、脂質代謝等におよぼす影響、あるいは心筋梗塞、血栓症などが懸念されます。ピル使用の禁忌には種々の状況があり、糖尿病、あるいは糖尿病患者に多い肥満はピル使用の相対的禁忌に含まれています。しかし、現在使用されているのはホルモン含量の少ない低用量ピルであり、これらの使用については糖尿病患者で使用してもまず問題ありません。すなわち、合剤でもプロゲスチン単剤でも血糖コントロールに影響ない、脂質代謝、HbA1c、血圧、網膜症、腎症に影響をおよぼさないという報告があります。また、以前に妊娠糖尿病であった人への投与も可能であり、糖尿病発症を助長しません。 お近くの産婦人科の先生にご相談ください。
(岡山市立総合医療センター 平松祐司)
2007年11月
|
|
2007 All copylight by The Japanese Society of Dibetes and Pregnancy