糖尿病合併妊娠では、胎児にも種々の異常がでますが、最も重篤な合併症が奇形です。この奇形は妊娠前の糖尿病が見逃されていた妊婦さんからの発症が最も多いことが問題になっています。妊娠してから糖尿病のスクリーニングをうけて治療を開始したのでは、すでに胎児の器官形成期を過ぎており、手遅れの状態であり、奇形を予防できません。
多数の糖尿病合併妊娠を集めて検討してみると、妊娠前に治療を開始した群での奇形発生率は2.1%で、糖尿病でない妊婦さんの1.7%と大きな差は見られませんが、妊娠後の治療開始群では9.0%と高頻度です。また、奇形発生頻度は血糖管理が悪いほど高くなります。
したがって、奇形防止のためには、特に前記したリスクファクターをもっている人では必ずスクリーニングを受け、異常があれば妊娠前から血糖管理をうけて計画妊娠することが非常に大切です。
2016年9月改訂
(岡山市立総合医療センター 平松祐司)
2013年05月
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