まず妊娠してよい状態か、つまり血糖コントロールがよいか、糖尿病合併症が妊娠中に悪化する状態ではないかを確かめる必要があります。
妊娠初期の血糖値が高い場合には胎児に先天奇形を合併しやすくなります。妊娠4〜9週で胎児のいろいろな臓器が作られますが、お母さん(母体)の血糖値が高いと胎児の血糖値も高くなり、このため先天奇形を合併しやすくなるのです。
妊娠初期のHbA1cが8.4%以上になると、20〜30%の胎児が奇形を合併する可能性がでてきます。しかし、この時期には妊娠に気づかないこともあるので、高血糖が胎児におよぼす影響を防ぐために、妊娠前に血糖コントロールをよくすることが重要です。
妊娠前のHbA1cが6.2%未満であれば理想的ですが、HbA1c7.0%未満が一般的に推奨されています。
血糖コントロールだけではなく、糖尿病網膜症や腎症を合併していないか、妊娠によって影響をうけやすい状態でないかを、妊娠前に検査します。
すでに増殖網膜症を合併しているときには、まず眼科的な治療を行い、網膜症が安定し、妊娠が可能な状態であることを確かめる必要があります。
腎症でいつも蛋白尿が陽性のときには、早産になったり、赤ちゃんも小さく、新生児期にもいろいろな合併症が起きるため、妊娠は避けた方がよいでしょう。
妊娠を考えているときには、妊娠前から糖尿の治療をうけ計画妊娠することが大切です。
(板倉病院 佐中眞由実)
2013年05月
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