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2. 妊娠中の明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)とは? |
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妊娠時には妊娠初期と中期に妊娠糖尿病のスクリーニングをしますが、その結果が妊娠糖尿病の基準よりさらに高く、糖尿病の基準をも満たすものが"妊娠時に診断された明らかな糖尿病 overt diabetes in pregnancy(註1)"と診断されます。妊娠中の合併症の頻度、将来の糖尿病発症率が妊娠糖尿病の人より高いため、厳重な管理とフォローアップが必要となります。
妊娠中の明らかな糖尿病の診断基準
- 空腹時血糖値≧126mg/dL
- HbA1c≧6.5%
*随時血糖値≧200mg/dlあるいは75gOGTTで2時間値≧200mg/dlの場合は、妊娠中の明らかな糖尿病の存在を念頭に置き、1または2の基準を満たすかどうか確認する。(註2)
註1. 妊娠中の明らかな糖尿病には、妊娠前に見逃されていた糖尿病と、妊娠中の糖代謝の変化の影響を受けた糖代謝異常、および妊娠中に発症した1型糖尿病が含まれる。いずれも分娩後は診断の再確認が必要である。
註2. 妊娠中、特に妊娠後期は妊娠による生理的なインスリン抵抗性の増大を反映して糖負荷後血糖値は非妊時よりも高値を示す。そのため、随時血糖値や75gOGTT負荷後血糖値は非妊時の糖尿病診断基準をそのまま当てはめることはできない。
これらは妊娠中の基準であり、出産後は改めて非妊娠時の「糖尿病の診断基準」に基づき再評価することが必要である。
2016年9月改訂
(岡山市立総合医療センター 平松祐司)
2013年05月
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2007 All copylight by The Japanese Society of Dibetes and Pregnancy