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2014年12月21日

アルコールを飲み過ぎないために 事前に知っておきたい対処法

キーワード
食事療法
 年の瀬がせまり、忘年会にクリスマス、新年会などのイベントが続くこれからの時季は、お酒を飲む機会が増える。ついつい飲みすぎてしまったり、翌日に「二日酔い」で辛い経験をしたという人も多いのではないだろうか。
 しかしお酒の怖さは「二日酔い」だけではない。お酒は適量の場合はストレス解消の効果を期待できるが、量が増えると確実に健康を損なう原因になる。
お酒は高カロリー 肥満の原因に
 アルコールに含まれるカロリーは1gあたり7kcalで、脂肪の9kcalに次ぐ高カロリーの食品だ。カロリーの他の栄養成分はほとんど含まれない(非蒸留酒には糖質が含まれる)。

 初めは「少し」と思っていても、つい飲み過ぎてしまうのがお酒だ。さらに、アルコールには食欲を高める作用もあり、食べ過ぎて肥満の原因になる。

アルコールを飲み過ぎないための対処法
 アルコールに強い体質かどうかは遺伝によって決まり、日本人は4〜5割程度がお酒に弱い遺伝子をもっているとされる。下戸にとっては宴席で何を飲むかというのは、切実な問題だ。

お酒を飲むときの注意点
・ 自分の適量を知るとともに、その日の体調にも注意する。
・ お酒を控えていたり、飲めない体質の人は、周囲の人に「自分はお酒を飲めない」ことを事前に伝えておく。
・ ビールやウイスキーの水割りに色が似ているウーロン茶やノンアルコール飲料を上手に利用する。
・ 短時間の多量な飲酒(一気飲み)を避ける。
・ 飲酒の無理強いは受け付けない。

純アルコール量で約20gが限度
 厚生労働省の指針では、1日のアルコール摂取量の目安を、純アルコール量で約20g程度だとしている。これをアルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500mL)、日本酒は1合(180mL)、焼酎0.6合(約110mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、ワイン1/4本(約180mL)、缶チューハイ1.5缶(約520mL)となる。

 アルコール健康医学協会によると、血液中のアルコール濃度0.02〜0.04%なら「爽快期」で、さわやかな気分になれる。このときはまだ、皮膚が赤くなったり、陽気になったりする程度だ。0.05〜0.10%は「ほろ酔い期」。体温が上がり、脈が速くなったりする。

 酔いが進むと次第に、理性をつかさどる大脳皮質の活動は低下していく。0.11〜0.15%の「酩酊初期」では、気が大きくなって大声を出し、怒りっぽくなる。さらに、0.41〜0.50%の「昏睡期」になると、マヒ状態は脳全体に及び、呼吸困難を引き起こす可能性もあるという。

 一般的に、純アルコール量で約20gを限度とするのが上手なお酒の飲み方といえる。これは、「爽快期」を維持して酒を楽しみ、酒量が増えたとしても「ほろ酔い期」でとどめておける量だ。

 体重約60kgの人が日本酒にして2合のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールは約3〜4時間体内にとどまる。それより多い量のお酒を飲むと、アルコールが体内から消失するまで約6〜7時間かかる。

 これには個人差があるため、体質的にお酒に弱い人や女性はもっと長い時間がかかる。深夜まで飲んでいると翌朝起床後まで体内にアルコールが残っているため、二日酔いになってしまう。

アルコールは低血糖の危険性を高める
 アルコールはアルコールそのもの作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与える。多量の飲酒は糖尿病の危険性を高め、特に肝障害や膵障害が加わるとコントロールが難しい糖尿病になるため、糖尿病患者は多量飲酒は避けた方が良い。

 また、アルコールは低血糖を引き起こすことがある。特に食事を十分にとらずに飲酒すると低血糖になりやすい。それは食事量低下のため肝臓のグリコーゲンが減少しており、さらにアルコールの代謝に伴い糖新生(糖質以外の物質からグルコースを産生する作用)が抑制されるためだ。

 インスリン注射や経口血糖降下剤などでの治療中の患者では、低血糖がより起こりやすくなるので、食事をとらずに飲酒することは原則として禁止されている。食事をとるのであれば、低脂肪で高タンパク質の食品(豆腐・枝豆・イワシなど)を食べると良い。

アルコールはインスリン抵抗性に影響
 アルコールの飲み過ぎは、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」に直接に影響し、2型糖尿病のリスクを上昇させることも分かっている。

 米国のマウントサイナイ医科大学の研究によると、アルコールを過剰に摂取すると、視床下部で炎症反応が引き起こされる。これにより末梢組織のインスリン受容体へのシグナル送信が阻害され、インスリン抵抗性が引き起こされるという。

 アルコール摂取はインスリン抵抗性を引き起こすだけではなく、食欲を亢進する作用もある。アルコールには、食欲を抑制するホルモンであるレプチンを減少させる作用がある。レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、視床下部にある満腹中枢に作用して、食欲を抑える作用がある。飲酒量が多い人では、レプチンの濃度が低下する傾向がみられる。

 アルコールは、アルコールそのものの作用のほかに、肝臓や膵臓の障害などのさまざまな因子を介して、血糖コントロールを困難にする。糖尿病のある人は、アルコール摂取に特に注意が必要だ。

 連日の宴会に疲れ果ててしまうかもしれないが、今年はお酒と上手に付き合いながら2014年を締めくくり、最高のコンディションで2015年を迎えたい。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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